本の話を少し。。。
相も変わらずもくもくとポール・オースターを読んでいます。
合間合間に『群像』や『文藝』といった文芸誌の書き下ろしをボチボチ読んだり・・・
読み終えたオースター作品は、
・幽霊たち
・ムーンパレス
・ミスターヴァーティゴ
・ティンブクトゥ
・空腹の技法
すべて新潮文庫で柴田元幸氏翻訳のものを読んでいます。
今読んでいるのは『孤独の発明』、記憶の書です。
新潮文庫の「孤独の発明」は短編二編から成り、
「記憶の書」「見えない人間の肖像」といったタイトルの短編です。
先日「見えない人間の肖像」を読み終えました。
これは、ひとえに真実彼の父親の話です。
「見えない人間」とは、亡くなった者のことを指します。
この短編はなるだけさっぱりと、端的に真実の父の記憶をつづっていきます。
あくまでオースターから見た父親をそのまま、疑問も反感もそのままです。
きっとこう思っていただろう、という仮定の上には一切成り立たない他人への考察です。
真実であるがゆえに哀しいこと。美しくないこと。偶然に無視されること。
そのすべてです。
そしてその全部が愛おしい。
愛というものがあるとすればこのことだ。
父と息子の話です。
見えない人間の肖像と重ねた、父親への愛でした。
私が彼を好むのは、人間を余すことなく書ききる想像力と愛情です。
私は、オースターのような人がいるのだという希望のもと生きています。
ほんとうです。
他人のこと、自分のことすら、よく分かりません。
thanks for reading.....
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