「人生はビギナーズ」マイク・ミルズを観ました。
丁寧につくられたなんとも味わいがたいとっても素敵な映画だった。
ユアン・マクレガー演じるオリヴァーよかった・・・。
父ハルは妻に先立たれた後75歳にしてゲイであることをカミングアウト。
残りの人生をゲイとしてまっとうした姿と、父の死後であったアナとの恋愛を時系列を並行にしてえがいていく。
有名なイラストレーターでもあるマイク・ミルズの実話をもとにしているとは周知のお話。
ハルの住むロサンゼルス郊外と思われる丘の上の一軒家がとっても素敵だった。
おおきな窓から差し込む光や、庭のプランターに咲き誇る草花。
それらがダイニングやリビングの小瓶にちょこちょこ挿してあるのです。
父と息子の絆もさることながら、病魔に侵されながらも最期まで人生を生きなおす(といったほうがしっくりくる)
ハルの生命力に感動する。この映画では描かれていない、おそらくシャイで寡黙だったであろう
息子と手をつなぐこともしない父親のハルの面影は、いわずもがな名優クリストファー・プラマーの奥深い演技によって
生き生きとした姿のなかにも深い陰影をのこすのだ。だからいいのだ。
登場人物のみんなが愛おしい。
オリヴァーもアナ(メラニー・ロラン)もみんな愛することに不器用で、おどろくほど孤独に慣れてしまっている。
それはわたしたちの世代そのものなのだ。幼いころから両親の真実の愛(子供に対するでなく夫婦愛)に触れていないせいでもある。
そんな登場人物たちを自ら殻をうちやぶり、愛を体現してみせてくれたハル。
かくじつに絆はあって、すこしの勇気がわたしたちに愛する才能をさずけてくれるだろう。
こんなに深い孤独がしたじきにあって、じんわりやさしくて丁寧な映画は作り手の人柄いがいのなにものでもない。
心にのこる、心の糧にしたい、最良の映画。
Thanks for reading.
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