『白夜行』東野圭吾
2月後半から3月にかけて仕事が立て込んでいたこともろもろあって
現実逃避に走りたかったわたしはこのブログでたまに書くように
ポール・オースターばかり読むのを休憩して
エンタテイメントを求めることにした
そこで読み始めたのが多大な積読本の中、
目についた中で一番分厚かった文庫本「白夜行」
東野圭吾はデビュー作「放課後」しか読んだことがなかった
それも小峰 元の「アルキメデスは手を汚さない」という小説にハマったからである
東野圭吾が小説家になることを志したきっかけであるという作品だ
そんなことから「放課後」をアルキメデスの付属品のようなおもいで読んだだけだった
それもそんなに印象に残るような読書体験とならず、
東野圭吾とわたしの関係(おおげさ)はいったん止まった
そこに来て白夜行である
あらかたの筋は有名なので知っていた
テレビで核となる幼少エピソードの回だけ見たことがあった
それにしても、ストーリーの緻密さ
脇を固める人物の圧倒的な存在感
いっさい省かれた主人公とヒロインの心情に
もう、めちゃくちゃはまってしまった・・・
いやらしくない按配で完璧にふられる伏線のあり方も
いたるところに想像を掻き立てる鍵を放り込む
めちゃくちゃサービス精神旺盛な人やと思った
わたしは映画もドラマもみていない
純粋に本を読んだ感想をいいたい
もちろんネタバレですあしからず
19年間彼らの生きた痕跡を追従してきて
なぜあのラストで桐原亮司が死んだと思える?
桐原亮司は死んでいない
あれはひとつの括りなんだとおもう
最後に雪穂が語った「太陽の代わりとなるもの」はもちろん重要だった
ただそこに愛情的なものは一切感じなかった
しつこく笹垣が言ったハゼとエビの関係である
目的が達せられるための絶対不可欠なものを雪穂が簡単に手放すわけがない
手放すことがあるとすればそれは達成された時しかない
そして目的とは大阪店のオープンなんかでは、
もちろんないはずだ
雪穂が大阪店の店長を自分ではない店員に任せたことも
子供に切り絵を持たせたことも
鋏が刺さっていたことも
すべて笹垣のために仕組まれたことにしか思えない
亮司は笹垣に切り絵をほめられたことを覚えているだろうし
鋏のことを知っている園村友彦と笹垣は接触していたけれど
その後は一切描かれていない
友彦の中で鋏がなくなったことは亮司の消失を意味していた
それを刑事に話すことは安易に想像できる
雪穂と亮司が一般的な恋愛関係にあったとわたしは思わない
二人とも性的に問題を抱えている
幼少期、とくに中学高校ぐらいまでは恋愛関係にあったかもしれない
(パッチワークの巾着とか)
だけど父親のこともあった亮司が雪穂に手を出すとは考えられなかった
後半の雪穂の変容ぶりもすさまじい
完全な高嶺の華で、亮司のことさえ蔑視しそうな雰囲気だ
それでも二人の中には確実に絆が存在しており
それはもう呪いである
雪穂がどのように変貌を遂げようと
目的は変わることはないだろう
亮司と一緒に太陽のもとを歩くこと
そしてそれは現実的にさまざまな時効も成立し
安心して暮らせる保証をもったうえで
雲隠れできるそんな時のことだとわたしは思った
雪穂は間違いなくロマンチストだ
わたしは強固なまでに桐原亮司は死んでいないと思っている
それもきっと作者が「そんな風にとらえる読者もいればいいな」
と意図してのラストだとわかっている
つまり思う壺ということ
だてに稼ぐ小説家でないことはよく分かりました!笑
すごく面白かったから読み終わったのが寂しい
映画のDVDを観ようとおもってるけど
二時間やそこらでこれを描けると思えない
ドラマもみてみたいけどこの動画見てびっくりした・・・・
すごいセカチュー化 すごい美化
この演出はテレビ界の賜物といえる
でもこれはこれできっといいんだと思う・・・・
作者もたぶんうれしいと思う
最近、北野武が青少年の犯罪等の悪影響についてどう思いますかと質問されて、
「感動的な作品が世の中に溢れているけど、それで世の中良くなったか?」
と言ったらしい
さいきんPerfumeを最初のアルバムから全部借りてみた笑
この曲はわたしの中で「白夜行」の思い出 :P
さいきんPerfumeを最初のアルバムから全部借りてみた笑
この曲はわたしの中で「白夜行」の思い出 :P
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